題目「塗り足し」
パンフレットの入稿を終えた弥七。あとは完成を待つだけと思っていた矢先、喜八から電話が掛かってきた。
喜八「送ってもらった入稿データなんだが、塗り足しがねえぞ」
弥七「ん? 何かまずいのかい?」
喜八「このまま印刷すれば断裁の時、背景の外に白が出るかもしれねぇ。ほんの若干、トンボより内側で切れば白が出ないかもしれねぇが、確証はねぇな」
弥七「ちょっと何言ってるか分かんねぇや。日本語で言ってくれ」
喜八「全部日本語なんだがな。えーっと、お前さんこのデータをA4サイズで作成したよな?」
弥七「ああ、そうさ」
喜八「プロの印刷屋はそれをひと回り大きい紙に印刷して、四方を切り落とすんだが、もし1ミリズレて切ったとしたらどうなると思う?」
弥七「…あっ、1ミリ白い部分がでてくるな」
喜八「そう。紙の端(はじ)まで印刷が無いデザインなら気にならないんだが、お前さんが作ったのにはバッチリ端まで背景がある。これがわずか0.1ミリでもズレたら、印刷していない部分が出てくるのさ」
弥七「じゃあどうすればいいんだい?」
喜八「紙の端まで印刷したい部分だけを、仕上がりサイズより3ミリずつ外にはみ出してくれねぇか。ちなみにこの3ミリはみ出した部分を塗り足し、塗り足しを切り落とす目印をトンボってんだ」
弥七「なるほど、こりゃいいことを聞いた。知り合いの印刷営業マンにも教えてやらねぇと!」
喜八「おいおい、印刷屋の人間なら知ってて当然の話だぜ。『恥』の上塗りみたいなこと考えてねぇで、早く『端(はじ)』まで印刷できるよう塗り足しをつけてくれねぇか」
どうもお後がよろしいようで…。
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