年も明けた元日の朝、弥七は筆を執っていた。
喜八「あけましておめでとう!おい、それは書き初めかい?」
弥七「うわっ!びっくりした…急に声かけるんで、半紙が破れちまったよ」
喜八「すまねえ、すまねえ。そんなに驚くと思わなかったさ」
弥七「はぁ…半紙は薄くて破れやすいから、かなわねぇ。絶対に破れない紙ってねぇもんかね?」
喜八「だったらこの紙、ちぎってみな」
弥七「ん…?ぐぐぐ…駄目だ、切れ込みすら入らねぇ」
喜八「そいつは『ユポ紙』つって、ポリプロピレンって素材で作られた紙さ。刃物を使わなきゃ切れねぇよ」
弥七「なんでそんなもん持ち歩いてんだ…?」
喜八「更に耐水性も高いんで、外貼りのポスターとかにも使われんだ。雨にも風にも耐えられるんでな」
弥七「なんだかそのフレーズ聞いたことがあるような…」
喜八「『雨ニモマケズ風ニモマケズ』ってか」
弥七「でもそんな紙に印刷なんてできんのかい?」
喜八「できるさ。ただし、乾燥時間をたっぷりとってやらないといけねぇがな。ところでさっき、書き初めで何書いてたんだい?」
弥七「あぁ、まあ将来の夢だな」
喜八「なら、このユポ紙に書くといい」
弥七「なんでだい?夢が叶うまじないかい?」
喜八「まあ願掛けみたいなもんさ。ちぎれねぇ紙に夢を描きゃあ『夢破れることはねぇ』からな」
どうもお後がよろしいようで…。
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