題目「紙の目」
ある日、弥七がプリンターとにらめっこしていた。
弥七「また止まっちまったぞ、こんちくしょう!」
喜八「おいおい、お前さん何やってるんだ?」
弥七「聞いてくれよ、喜八。このプリンター紙が詰まって、すぐ止まっちまうんだ」
喜八「どれ、ちょっと見せてみな。ははーん、これはよぉ紙の目に逆らってるからじゃねえかな?」
弥七「えっ、お上(かみ)の目に逆らう? お、おいら何も悪いことはしてねぇよ」
喜八「いやいやそんな大層なことじゃなくて、この紙のことさ」
弥七「紙にも目がついてるって言うのかい?」
喜八「目と言っても繊維の向きのことさ。目の向きに平行だと流れやすくなるし、交差すると引っかかりやすいんだ。印刷業界では、Y(よこ)目・T(たて)目って言い方で区別している」
弥七「へぇー、でもどうすりゃ向きがわかるんだい?」
喜八「試しに紙を折ってみな。ピシッと折れりゃあその向きに、ガタガタになるなら紙の目に逆らってるってことさ」
弥七「こりゃ面白い!」
喜八「他にも紙の破れ方も違うのさ」
弥七「目に逆らってると真っ直ぐ破りにくいんだな」
喜八「ところでお前さん、プリンターで何をしていたんだい?」
弥七「今度の日曜に祭りがあるんで、チラシを作ってたんだ。明日までに配らないといけないんでてんてこ舞いさ」
喜八「忙しいとこ悪いが、残念ながら日曜は雨って聞いてるぜ。紙の目はY(よこ)目・T(たて)目っていうがお前さんは“弱り”目に“祟り”目だな」
どうもお後がよろしいようで…。
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