題目「特色（とくしょく）インキ」

弥七がある印刷会社のニュースレター（ＮＬ）を読んでいた。

弥七「なあ喜八。今、印刷の『特色』って文字を目にしたんだが、どういうことだい？」

喜八「（ああ、このＮＬの表面を見て言ってんな…）一言で言やぁ、ＣＭＹＫ以外の色のことだな」

弥七「印刷の仕方で独自のカラーを出してくとか、そういう話じゃねぇのか！」

喜八「お前さん、うまいこと言ってるみてえだが印刷業界の『特色』は意味が違げぇんだよ」

弥七「そういや前に、印刷はCMYKで色を表現するとかなんとか言ってたな」

喜八「そうさ。だがCMYKでは表現できない色、たとえば "金" とか "白" とかって色は専用のインキがあるの

さ。これらは "スポットカラー" って呼ばれて、インキメーカーが見本帳を出してるのさ」

弥七「おい、ちょっと待て！さっきのNLに数種類のインキを混ぜ…とか書いてるぞ！なんか間違ってねぇか？」

喜八「間違っちゃいねぇさ。特色にはもう一つ意味合いがあって、

黒以外の単色で印刷するときなんかは、

『特色で印刷する』とか言ったりすんだよ」

弥七「どういうことだい？」

喜八「例えば緑１色のチラシがあるとして、これをＣＭＹＫの

４色刷りで印刷するとなりゃあ、手間がかかっちまう。

だったら、先にＣＭＹＫのインキを混ぜ合わせて緑色を作っちまえば、１色刷りで済むじゃね

えか」

弥七「なるほどな、そういうときも『特色』って言葉を使うのかい。それじゃあ今度から印刷してもらうとき

は、特色で頼もうかね。もちろん割引してくれんだろ？」

喜八「おいおい弥七、いくらお前さんの頼みでも『特』別『色』をつけたりはできねぇよ」

どうもお後がよろしいようで…。